「私と同じような客というのは、ジャーナリストでしょうか?」



「おそらくは。上田君の事件について調べているとおっしゃっていたので」  


 坂井教授はそう言うなり、あからさまにため息を吐いた。



 強引な取材でも受けたのだろうか。



 ふと市川はそう思い、「名刺はいただきましたか?」と嫌悪の表情を見せる坂井教授に訊ねた。



「いえ。ただクロサワさんという方でした。ご存じですか?」




 その名前を聞いて市川の体は一瞬強張ったが、市川は平然と「いやー知らない方ですね」と言った。



 メモにあった名前の奴だ。



「その方はどんな方でした?」



「・・長身で肩幅が広く、短髪でヒゲを生やしていました。ヤクザのような迫力がありましたね」




 そう言って坂井教授は、嘲るように鼻で笑った。



 よし。特徴ゲット。




「なるほど。その方はどんなことを言っていました?」