「又聞きなら・・いや漢字はわかるな。電話なら・・聞かない限りはわからんよな」



 なぜ1人だけカタカナ表記なのかは市川にはわからなかったが、被害者とクロサワという人物は面識がない可能性が高いことはわかった。



 どの経由でクロサワと被害者が接触したのかは、後々調べることにしようと市川は思い、次の名前に目を移した。



 野村と鎌田に関しては、被害者との関係はどうとでも捉えられる。



 知り合い、友人その他、色々。それはともかく面識がある可能性は高いと考えても良い。




「順子は恋人かね?」




 唯一下の名前で表記されていた「順子」という名前を見て、市川はまた深いため息を漏らした。



 恋人でなけりゃいいねぇ。



 恋人であれば被害者のあの死に方に、いずれ直面するだろう。



 そう考えると市川はいたたまれない気持ちになり、ゆっくりと目を閉じた。