外を見回すと続々と警察車両が来て、アパートの周囲には黒山のような人だかりができていた。



 それに目を奪われつつも、市川はそそくさとそば屋の中に入っていった。




「おばちゃん、手帳を。警察には何も知らないって言ってね」



「あいよ。今度はゆっくり食べに来てよ」     



 おばちゃんはそう言ってウィンクをして、市川は笑いながらそば屋を出ていった。



 これから忙しくなるな。


 そう思いながら市川は野次馬の間を抜けて、自分のアパートへと帰っていった。