運命という絆

「彼は、只者では無い!」と…敏感に感じた由美の母

そして、歓声が落ち着くのを待ち、下げた腰を元に戻した拓真の口から眼から鱗が落とされる様な発言で、それが確信となった。

「閉会するにあたり三つ嬉しかった事があります。簡単ですが述べさせて戴きます…一つ!沢山の笑顔が多く見れた事…二つ!"ありがとう…"の言葉が多く聞けた事…そして最後に全生徒が、誰一人と欠席無く参加してくれた事!…今迄、学校を避けていた数名の方々が再び、戻って来られた勇気に敬意を表します…」

田中拓真の眼がこの次の言葉を発する前に大きく開いた。

「悲しく残念に思った事もあります!それは、PTAの一部の力による合同祭のプログラムを組むにあたり批判的な圧力…私達は、大人のペットや操り人形ではありません。全生徒、各個人に与えられた能力は全て異なります。文武両道それに芸術と、才能は人それぞれ…多感的な、この時期に大人の言う事に流され漠然と示された大学へ受験戦争に向かう生徒も多くいるでしょう…もう私達は情報の多様化で今迄、伏せられていた事も直ぐに調べられる環境に居ます。一流大学を卒業しても、未来は安泰では無いと云う社会!にしたのは言う迄も無く大人の方々です…この進学校である我校に居る生徒全員は、はっきり言ってエリートであり各、進路も自身で考えられます。エゴイズムや世間体と云うのは抜きで親子で話し合うコミュニケーションを多く作りあって欲しいです!先生達も立場は有るでしょうが、学校内に於いて『見て見ぬ振り!』だけは止めて下さい!今日の合同祭での生徒の団結力が生徒としてのPTAへのメッセージと受け止めて下さい!…フォークダンスにより異性の手を繋ぐ行為は、"らしさ"を感じる良い機会でした。男子は女子の"柔軟な優しさ"女子は男子の"武骨だが力強さ"を経験した筈です…私は、楽しかったし、周りを見渡して照れながらも多くの笑顔を見れた事で取り入れて良かったと心より思います!…最後のリレーでの不様な自身を御見せました事は申し訳ありませんでした。此処にお詫び致します……以上!本年度合同祭これを持ち閉会とします!合同祭実行委員長 田中拓真!!」


「素晴らしかったわね合同祭!涙が止まらなかった彼の行動力…あの怪我を圧しての毅然とした閉会の挨拶には鳥肌迄、立ったわ」由美と向かいながら母が感想を述べた。