クリスマスイブ当日
「お母さん…なんか変わった。今迄と較べて一緒に居てくれる時間が長くなったし、優しくなった気がする。ありがとう…お母さん」由美が母と一緒に美容院へ行った後、散々悩んだ挙句に買って貰った洋服を大事に抱え込みながら感謝を込めて言った。
「貴女にありがとうなんて言われたの…久し振りね。さぁ、後は食材を買って今晩の用意するわよ」「うん!私も手伝うから♪」
影響力と云うものを親娘で、無意識に感じていた。由美の母は、特に人生を通じて一人娘に今迄の生活への詫びもあった。
「私が、譲るべきものを譲っていたら片親では無く両親揃って生活が出来ていたかも…こんな簡単な事に今更、気付くなんて」
何時に無く母は素直に謙虚になっている自分が不思議だった。全てが拓真に出会った事からであり、それ迄は娘から聴かされていた拓真の情報もあったが、実際に合同祭での拓真を目の当たりにして、子育てと云うものの重要性を痛感していたのだった。
「そろそろ、お迎えに行って来るね♪」「お迎えって…未だ六時よ!約束の時間は七時でしょ。ちょっと早過ぎ…あら!由美、貴女お化粧したでしょ?」「ちょっと、お母さんの借りちゃった…会長待たせたら悪いから、早めに出るの」そう言うと由美は、今日買ったばかりの服を纏い心ここにあらずとばかりに家を出て行った。
「ふぅ!いつの間にか彼女も女になっていたか…」
化粧をした由美に、母は少し"ドキッ"とした。それは、嫉妬に近い忘れていた若さがそこにあった。
「彼が遂に来る…」暫く、忘れていた…いや!娘の為にと捨てた筈の女心が揺れていた。胸が締め付けられる様な感覚が「これは、娘にこじつけ実は彼を待ち侘びているのは私?…まさかね…」
母は無意識に鏡に向かい髪を直し紅を重ねている自身を心の中で笑い思った。
「こんばんは!今日は、お招き戴きありがとうございます」
屈託の無い拓真の挨拶は、十八の少年そのものだった。
「ごめんなさいね…娘の我が儘に付き合わせちゃって」
母は意外に感じた。目の前に居るのは、確かに田中拓真であるが合同祭で傷を負った彼とは別人の様な感覚が走った事は間違い無かった。
「さぁ会長!上がって下さい♪」由美は上機嫌で言い母も笑顔で拓真を迎え入れた。
「合同祭では、ありがとうございました。本当に感謝しています」拓真が、恩を忘れず母に腰を折り、あの時の礼の言葉を言った。
「お母さん…なんか変わった。今迄と較べて一緒に居てくれる時間が長くなったし、優しくなった気がする。ありがとう…お母さん」由美が母と一緒に美容院へ行った後、散々悩んだ挙句に買って貰った洋服を大事に抱え込みながら感謝を込めて言った。
「貴女にありがとうなんて言われたの…久し振りね。さぁ、後は食材を買って今晩の用意するわよ」「うん!私も手伝うから♪」
影響力と云うものを親娘で、無意識に感じていた。由美の母は、特に人生を通じて一人娘に今迄の生活への詫びもあった。
「私が、譲るべきものを譲っていたら片親では無く両親揃って生活が出来ていたかも…こんな簡単な事に今更、気付くなんて」
何時に無く母は素直に謙虚になっている自分が不思議だった。全てが拓真に出会った事からであり、それ迄は娘から聴かされていた拓真の情報もあったが、実際に合同祭での拓真を目の当たりにして、子育てと云うものの重要性を痛感していたのだった。
「そろそろ、お迎えに行って来るね♪」「お迎えって…未だ六時よ!約束の時間は七時でしょ。ちょっと早過ぎ…あら!由美、貴女お化粧したでしょ?」「ちょっと、お母さんの借りちゃった…会長待たせたら悪いから、早めに出るの」そう言うと由美は、今日買ったばかりの服を纏い心ここにあらずとばかりに家を出て行った。
「ふぅ!いつの間にか彼女も女になっていたか…」
化粧をした由美に、母は少し"ドキッ"とした。それは、嫉妬に近い忘れていた若さがそこにあった。
「彼が遂に来る…」暫く、忘れていた…いや!娘の為にと捨てた筈の女心が揺れていた。胸が締め付けられる様な感覚が「これは、娘にこじつけ実は彼を待ち侘びているのは私?…まさかね…」
母は無意識に鏡に向かい髪を直し紅を重ねている自身を心の中で笑い思った。
「こんばんは!今日は、お招き戴きありがとうございます」
屈託の無い拓真の挨拶は、十八の少年そのものだった。
「ごめんなさいね…娘の我が儘に付き合わせちゃって」
母は意外に感じた。目の前に居るのは、確かに田中拓真であるが合同祭で傷を負った彼とは別人の様な感覚が走った事は間違い無かった。
「さぁ会長!上がって下さい♪」由美は上機嫌で言い母も笑顔で拓真を迎え入れた。
「合同祭では、ありがとうございました。本当に感謝しています」拓真が、恩を忘れず母に腰を折り、あの時の礼の言葉を言った。
