「これから…一人で生きろと?…」
「お前には、私の血が通っている。後は、自信を持って考えれば自ずと答えは出るさ…私と拓真はコペルニクス的な運命なのかも知れない。"天命を知り、人事を尽くす"この私が言った意味はきっと解る筈だ。近いうちにお前なら…」
「コペルニクス的なって?…180゜対極じゃない?"人事を尽くして天命を待つの逆…」「先ず、自身を見詰め、身近なところから見回して行きなさい。必ず、見えて来る!自分のするべき事が…運命というものが、どういうものか?例えば、うちの家庭自体から、逆じゃなかったか?…拓真が、物心着いた時から違和感は感じていた筈」
「確かに…外で母さんが働き、家事は父さんだったよね。幼稚園の送迎じゃ、確かに周りはお母さんばかりだったけど…僕に不満なんて無かった。一緒に良く遊んでくれたし、勉強も分かり易く教えてくれた…」
「お母さんが末期の進行ガンで、短い一生を終えたりしたのも、何かの見えない力が働いた。それを間近に見て私達は現在、生かされている…」
「言われてみれば、父さんは、確かに…お母さんが死の間際に話した事が事実なら、父さんが今、目の前に居る事は奇跡だよね…」
「私はお母さんに命を救われ…二度、奪われ掛けた事もあった…因果なものだ」
「お母さんが、それも懺悔する様に話してくれたよ…」
「そうか…見えない力が私達を生かしている意味は、拓真お前なら答えをきっと導き出せる…」
「……」
「私の人生は、無くて当たり前の歴史。それが、今じゃ有るのが当たり前のデフレ社会…お陰で、ツケは未来を背負うこれからの若者が担わなくてはいけない世の中になってしまった。分かっていても都合の悪い事は先送りにした政治、官僚、サバイバル化した財界だと云うのは拓真も知っている通り…だが、更にどうやら、悪い奴等が居るようだ…」
「更に悪い奴等?…」
「さてと、行くとしよう……見えない力が、『地獄を見てこい』って私に行けと囁いている」
「出掛ける用意しているの?…」
「身体ひとつ有れば事足りる…他は必要無い…運命とは、そういうものだ」
「父さん……」
「野垂れ死にも悪くない…」
「何を馬鹿な事!言っているの?…」
「運命は、私を約束の日迄きっと生かす…大きくなったな拓真」
「これが、父との別れの言葉…」
拓真が本田に話し終えるとウイスキーの入ったグラスを"グッ"と一気に飲んだ。
「お前には、私の血が通っている。後は、自信を持って考えれば自ずと答えは出るさ…私と拓真はコペルニクス的な運命なのかも知れない。"天命を知り、人事を尽くす"この私が言った意味はきっと解る筈だ。近いうちにお前なら…」
「コペルニクス的なって?…180゜対極じゃない?"人事を尽くして天命を待つの逆…」「先ず、自身を見詰め、身近なところから見回して行きなさい。必ず、見えて来る!自分のするべき事が…運命というものが、どういうものか?例えば、うちの家庭自体から、逆じゃなかったか?…拓真が、物心着いた時から違和感は感じていた筈」
「確かに…外で母さんが働き、家事は父さんだったよね。幼稚園の送迎じゃ、確かに周りはお母さんばかりだったけど…僕に不満なんて無かった。一緒に良く遊んでくれたし、勉強も分かり易く教えてくれた…」
「お母さんが末期の進行ガンで、短い一生を終えたりしたのも、何かの見えない力が働いた。それを間近に見て私達は現在、生かされている…」
「言われてみれば、父さんは、確かに…お母さんが死の間際に話した事が事実なら、父さんが今、目の前に居る事は奇跡だよね…」
「私はお母さんに命を救われ…二度、奪われ掛けた事もあった…因果なものだ」
「お母さんが、それも懺悔する様に話してくれたよ…」
「そうか…見えない力が私達を生かしている意味は、拓真お前なら答えをきっと導き出せる…」
「……」
「私の人生は、無くて当たり前の歴史。それが、今じゃ有るのが当たり前のデフレ社会…お陰で、ツケは未来を背負うこれからの若者が担わなくてはいけない世の中になってしまった。分かっていても都合の悪い事は先送りにした政治、官僚、サバイバル化した財界だと云うのは拓真も知っている通り…だが、更にどうやら、悪い奴等が居るようだ…」
「更に悪い奴等?…」
「さてと、行くとしよう……見えない力が、『地獄を見てこい』って私に行けと囁いている」
「出掛ける用意しているの?…」
「身体ひとつ有れば事足りる…他は必要無い…運命とは、そういうものだ」
「父さん……」
「野垂れ死にも悪くない…」
「何を馬鹿な事!言っているの?…」
「運命は、私を約束の日迄きっと生かす…大きくなったな拓真」
「これが、父との別れの言葉…」
拓真が本田に話し終えるとウイスキーの入ったグラスを"グッ"と一気に飲んだ。
