男嫌いなあたし。

「愁ー。茂長ー。またできてるー…。」

「ったく…。ほんとあきねーよなぁ。」

「今日テストなんじゃねーの?」

「かんけーないんじゃね?」

車のドアを開けてもらって、外に出ると

少しだけ涼しい夏の風が、ふわりと吹いた。

「澪、俺達から離れんなよ?」

「うん…。」

「大丈夫、俺と愁がちゃんと守ってやるから。」

あたしは、愁と茂長に守ってもらいながら

人ごみの中を歩き出した。


「きゃーっ///寺崎君っ茂長君っ///」

「泉川さーんっ。おはようございますーっ。」


男子も女子も、きゃーきゃー騒いでる。

うぅ…。やめてよもう…。

「澪、もうちょい。」

「頑張れって。大丈夫だから。」

「助けて2人共…。」

あたしは愁と茂長の制服の裾を

きゅっと掴んで、やっとのことで靴箱までたどり着く。

「ここまでくりゃあへーきだろ。」

「お疲れ、澪奈。大丈夫だったか?」

「なんとか…。」

ふぅ…、と

自然と口から息が漏れた。