暖かい風が吹いていた春は

ピカピカの太陽がさす夏へと変わっていた。

「澪ー。朝だぞー。」

「まーた遅刻すっぞー。ったく澪奈は…。」

「ん…。待ってよー…。」

ついちょっと前までは愁の声しかしてなかった朝も

もう、茂長の声もするのが当たり前。

あたしの男嫌いは相変わらずだけど

茂長とだけは、なぜかここまで親しい仲となっていた。

「愁ー。髪ー。」

「はいはい。ってお前…。またリボンてきとーだし。」

「澪奈、こっちこい。リボンやってやるから。」

昔っから結構箱入りお嬢様だったあたしは

いつもこんな感じ。

愁も茂長も、好意でやってくれてるんだけどね。

「悠斗、リボン頼んだ。俺髪やるし。」

「りょーかい。」

茂長は、あたしの首にリボンをかけて

きゅっと器用に結んでいく。

「ん、できた。」

「こっちもできたぞ。」

髪もリボンも完成したところで

やっと部屋から3人で出る。

外で車が待ってるしね。