おっきい門をくぐったところで、

見覚えのある人物に遭遇。

「あ、あれ…。」

「おう、泉川じゃん。」

「し、茂長も、ここの高校だったの?」

「そのとーり。」

どこの高校か、きいても教えてくれなくて

どうしたのかなぁ…なんて思っていたあたしは

ちょっとびっくり。

本当に受かったんだ。

「隣のは?」

「愁。あたしの幼馴染。」

「いっつも一緒に登校してんの?」

「うん。」

あたしがコクンっと頷くと

茂長は少しだけ複雑そうな顔をしていた。

「俺、茂長悠斗。よろしく。」

「寺崎愁だ。よろしく。」

2人は初対面かぁ…。

変な感じ。

「ほら。行くぞ。」

「あ、ちょ、引っぱんないでよーっ。」

あたしの手を引いて、歩き出す愁。

悔しいけど、コイツには手を触られても大丈夫だったりする。

昔、寂しくて泣きそうだったときに

抱きしめて頭を撫でてくれた。

そんな思い出が、あたしにはあって。

だから、触られても大丈夫なんだ。