「おう、それで充分。」

「だから…その…。」

「ん?」

「改めてよろしくの…。その…、握手…。」

あたしは茂長から顔を背けて

ん、と手を差し出した。

「…俺が触れても平気なのか?」

「う、うん…。」

「無理すんなって。手ぇ震えてる。」

「へ、へーきだからっ!」

あたしは、躊躇う茂長の手を自分から掴んだ。

「ほらっ…。だいじょぶ…だからっ…。」

「いやいや、明らか無理してんだろ。でも…、ありがとな。」

ほんのちょっとだけ、茂長の手に力がこもったのがわかった。

きゅっ、て。

あたしの心まで、掴まれてるみたいな

そんな感覚。

「お、おいっ。へーきか?」

「んっ…?」

「顔真っ青。ほら、ベッド座れよ。もういいから。」

「ゴメン…。でも、茂長のこと、嫌いなわけじゃないから…。」

「おう、わかってる。」

嫌いなら、最初っから触ったりしないもん。

でも、今まで愁にしか

触れたりなんかしなかったから…

きっと身体が疲れちゃたんだよね。