次の日。

バレンタイン当日…の夕方。

「澪奈?どーしたんだ、急に。」

あたしは、クリスマスの夜に来ていた浜辺に

悠斗を呼び出した。

「あ、あのね。こ、これっ…。」

押し付けるように、悠斗にチョコを渡す。

来る前に、何回もセリフを考えたのに

いざ直前になると、言葉が出なくて。

外は寒いのに、顔が熱くてしょうがない。

「…チョコ…?」

「そ、そう。きょ、今日…。」

「もしかして…。バレンタインだから…か?」

あたしは悠斗の問いかけに、こくんと頷いた。

「いつも、あたしばっかりもらってばっかりだし。その…だから…。」

日頃の気持ちと

あたしの“好き”って気持ちを伝えたくて。

「さんきゅ。心臓止まるかと思うくらい、嬉しかった。」

「ほんとに…?」

「当たり前だろ。ほんと、さんきゅうな。」

あたしの身体を抱きしめてくれる悠斗は

なぜか少しだけ震えてた。