男嫌いなあたし。

愁の部屋…の前にて。

とりあえず、コンコンとノックをしてみる。

本当にいるのかなぁー…なんて思いながら。

「…澪?」

「…うん。入っても…いい?」

「…おう。」

愁の静かな声がして、あたしはそっと中に入った。

「…愁?」

「…どうした?何かあったのか?」

「そ、そうじゃなくてね…。」

あたしは、そう言って、一度だけ愁を見つめた。

愁は、不思議そうな顔をして

あたしの顔を見ていた。

「あ、ありがとねっ。」

ぺこり、と頭を下げる。

そのまま

「愁だって辛かったはずなのに、あたしの背中を押してくれてありがと。行ってこいよって言ってくれてありがと。」

と、続けた。

「み、澪…?」

「あたしは、愁がいなかったら、悠斗の気持ちに気づけてなかったと思う。だから、ありがと。あたしに恋を教えてくれて、いつでも相談に乗ってくれて。」

もう目は逸らさない。

ただただまっすぐ、愁の目を見つめた。