男嫌いなあたし。

「さて、そろそろ行くか。」

「うん、ツリー見たいし。」

「知ってる。」

愁はあたしの手を引いて、歩き出した。

「ちょ、なんで手ぇ繋いでんの?」

「人ごみだろ?だから。」

そういわれたら、大人しくしとくしかないわけで…。

愁の背中を見つめながら

ゆっくりと人ごみの中を歩いて行く。





「ここか?」

「うん。やっぱりきれー…。」

もっと人ごみかと思いきや

そこの場所だけ不自然なくらい人がいなくて。

おっきなツリーの前に

あたしと愁は立っていた。

「澪、話いいか…?」

「何?」

愁の顔が、真剣なものへと変わる。

「俺の伝えたいこと、ここできいてほしい。」

「うん、わかった。いいよ。」

あたしはこくんと頷いた。

断れないよ、あんな真剣な顔見せられたら。


「…澪が好きだ。」


「えっ…?」

びっくりして、一瞬だけ息が止まりそうになる。

それでも愁は

あたしに向かって言葉を続けた。

「澪と悠斗が付き合ってるのは知ってる。でも、澪辛そうだったじゃん。」

「…。」

「俺なら澪を泣かせたりしない。苦しませたりしない。だから…。“幼馴染”から“恋人”に格上げしてくねぇ?」

どうも取り間違えられない、まっすぐな告白。

あたしは驚いて、呆然と愁を見つめた。