「ほら、車。待たせてるよ。」

「お、おう。」

「早く乗ろ。寒い。」

あたしは、悠斗が乗ったのを確認して

乗り込んだ。

あたしはいつも、真ん中に乗るんだから。




「今日は本当に寒いですね。」

「ほんとね。」

運転手さんも、少し寒そう。

車の中は充分温かいんだけどね。

「澪、風邪引くなよ?」

「わ、わかってるわよ。」

「どーだか。澪は身体弱えーかんな。」

これも巻いとけ、とあたしの首に

マフラーを巻いてくれる愁。

…優しいや。





「皆様、つきましたよ。」

「ん、ありがと。」

「いえいえ。それでは、気をつけて行ってらっしゃいませ。」

ぺこり、とあたし達に一礼を残して

車に乗り込む運転手さん。

きっとあたし達のことも知ってて

それでも、動揺1つ顔に出さない運転手さん。

そんなちっさなことでも

ありがたいなぁって思った。