「もうへーき。」

あたしはくっついていた身体を

少しだけ離した。

「…帰るか。」

「うん。あのさ…。歩いて…帰らない?」

「俺は別にいいけど…。澪へーきなのか?」

「大丈夫。夕焼け、見て帰りたいから。」

あたしは、すでにオレンジ色に染まっている空を見ながら

愁と歩き出した。

2人の影が、あたし達の前にできる。

「まぶしいや。」

「だな。こんなの見れねーだろ。」

くすっと愁が笑ったのがわかった。





「冬でも、夕焼けって出来るんだね。」

「ふつーはできねーだろ。たまたまじゃね?」

「そっかぁ…。」

ちょっと寂しいかも。なんて

呟いてみせる。

だって、こんなに綺麗なのに。