「…いいよ、付き合う。」

「さんきゅ。」

…とか言いながら、心の中でガッツポーズ。

前言撤回。

“案外”じゃなくて“結構”せこい奴だったみたいだ。

「…愁、ありがとね。」

「別に。前も言ったろ?辛かったら、いつでも俺を頼れって。」

「…うん。」

「それはこーゆうこと。」

澪が腰掛けているすぐ隣に座って

ぎゅっと身体を抱きしめてやる。

もっとちゃんと感情を吐き出さないと

コイツは自分の気持ちだけでつぶれていってしまう。

昔から、何かあっても顔には出さず

ぎゅっと1人で我慢して。

そのちっちゃい背中で、何を背負ってるんだ、といわんばかりの

痛々しくも気高い姿を何回も見てきた。

「…心配かけてごめん。」

ほら、俺にだってこうやって

気を使うんだから。

「…澪、言っていいんだぞ?なんで離れるんだよって。あたしは傍に居たいよって。悠斗に言ってもいいんだぞ?」

「…わかってる。でもね…。」

“あたしはまだ、その覚悟が足りないのかもしれないから”

と。

切なそうな表情だった。

こんな表情の澪を見たのは

初めてだったかもしれない。

俺は少しだけ怖くなった。


悠斗said.end