男嫌いなあたし。

ただただ無言で走り抜けていく道。

もう半分くらいきただろうか…

あたしの体力はギリギリで、さっきからめまいが止まらない。

少しでも気をぬけば、倒れてしまいそうだった。

「澪?おまっ…顔色ヤバイぞ!?」

「んっ…。もうっ…無理っ…かも…。」

「おいっ。ったく…無理すんなって言ったろ?」

もう限界、とばかりにふわりと倒れかけたあたしの身体を

愁が受け止めてくれる。

「ごめっ…。ありがと…。」

「別にいーって。ほら、背中のれ。」

「ん…。」

あたしは何とか愁の背中にしがみつき

目を閉じた。

めまいを抑えようと思ったから。

だんだん身体から力が抜けてきて

余計な力が入っていたことを知る。

「…澪?」

「…。」

「ぷっ…。寝ちまったか。」

ポンポン、とあたしの頭を撫でる手の感触は

いつもどうり優しくて。

“お前が全部を抱え込む必要なんてないんだぞ”

そう、言ってくれてるような気がした。