「し、茂…長?」

「?ど、どーした?」

「話したいことがあるの。だから…。」

「わかった。愁、先に帰っててくれねーか?」

「おう。」

茂長が言うと、愁はこくんっと頷いて

“がんばれ”とあたしに視線を送ってくれた。

これだけ背中押してもらったんだから

ちゃんと言わなきゃ。




「と、とりあえず、屋上にでも行くか?」

「…うん。そう…だね。」

決めたことなのに、いざとなると

緊張して動けなくなる。

膝が震えて、ちゃんと歩けるかも微妙なほどに。

「れ、澪?」

「ごめん、動けなくなっちゃったから、ここじゃだめ?」

夕方の校舎は、わりかし誰もいなくて

誰にきかれることもないだろう。