私は母親の顔をみた。
すると私が今まで見たこと無いような笑顔で見つめ返してきた。
訳がわからない…。
母「まだ離婚して時間がたってないから籍はいれられないけど、結婚しようと思ってるの。
っていうか、プロポーズされちゃってね。」
のろけながら五十嵐の腕にすりよる母親…
そんな母を何かたくらんだような目をしながら微笑む五十嵐…
絶対何かある…。
「…勝手に結婚すればいいんじゃないですか?
今まで好き勝手やっていましたし、玩具の私には関係の無い事です。」
母「それについて謝りたかったの!!
本当に申し訳なかった……あの人が好きで、捨てられたくなくて…一緒になってあなたを叩いたりして…。
許してなんて言わないから…せめて罪滅ぼしをさせて……?」
「罪滅ぼし…?」
五「君の母親はね、反省して若葉ちゃんとやり直したいんだって。
俺と出会ったときもずっと手に若葉ちゃんの写真を持ってた。
"子供に悪い事してしまった。今更顔をあわせられない"って言いながら泣いていたんだ。
そんな彼女の支えになりたくて…結婚を申し込んだんだ。
俺と君の母親と若葉ちゃん…3人でもう一度家庭を作っていきたい。」
言ってる事はわかる。
母親の顔を見れば反省してくれてる事もわかる。
出来ればもう一度…たった一人の母親と暮らしたい。
……でもこの男は信用できない。
絶対何かたくらんでるに違いない…。
他の目的があるはず。
そしてそれは決して…
私にとって良い事ではない。
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