少しして笑いがおさまったみたいで私に顔を戻してきた。



五「思ってよりいい女だな。

なるほどね、若葉ちゃんは本気なんだ…。
だったら俺はそれでも構わないと思ってる。」



「…1つ聞きたい事があるんだけど。」



五「何だ?」



「本当に私と関わるためにお母さんに近づいたの?」



五「あー…そうだけどそれだけじゃねぇよ。


許せなかったんだ。
子供を玩具のように扱ったのに都合よく仲直りしたい、だなんてさ。
…本当の親の事思い出したんだよ。」



「本当の親?」




五十嵐はベッドに腰をかけ、私もその隣りに座った。




五「…3歳の頃に父親が事故で死んだ。
母親は父親の事が好きすぎて壊れちまったんだよ。

それから殴られ、挙句の果てに5歳の時に捨てられた。



…そんな俺を拾ってくれたのが当時の五十嵐組組長だ。
養子として受け入れてくれて組員の人達にも可愛がってもらった。
稽古とか色々あって辛い時もあったが、断然幸せだった。



それから3年ほどたったときに母親が"息子を返して"なんてほざきに来やがった。
散々好き勝手しといて今更都合よすぎるだろ?
五十嵐組の人達が追い払ってくれたんだけどさ…やっぱり許せねぇんだよ。



だから若葉ちゃんを調べて両親の事知った時、まじで許せなかった。」



膝の上で拳を作り、ぷるぷると震えているのを見てよっぽど心に傷を負ったのだなと思った。
小さい頃に受けた傷はこれからも癒える事はないかもしれない…。

私はそっと五十嵐を抱しめた。





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