「時間、」

テレビの上の時計を見ながら口を開く。

「なに」

「時間、平気なの?」

やっとそれだけ言うと、彼は同じように時計を見て、息を吐いた。

「悪い。長居しすぎたな」

言いながら、随分前に空になっていた缶をビニール袋に戻す。私も散らかったさきいかを適当に袋に入れた。
彼はつまみは持ち帰らないので、これは私の分だ。

それから立ち上がった彼の背中を追う。
ついでに、流しに紅茶を入れたマグカップを置き、玄関に立つ。


息を吸った。