お店の中を見てまわる。
つい先日きたばかりだから
商品はあまり変わっていない。
私は時計売り場を探した。
こんなときでも、頭は冷静だった。
この間、時計のお金は
兄から貰うと言っていたが、
兄が記憶をなくしたから
貰う事もできないだろう。
時計の値段を確認しに来たのだ。
ちゃんと、沙希さんと愛美さんに
お金を返して、
それから…
兄の事も言わなきゃ。
みんなも、悲しいのは同じだよね。
そんなことを考えていたが、
時計売り場が見つからない。
店員さんに聞いてみることにした。
「あの、時計ってどこに売ってますか?」
「…?このお店にですか?」
「?はい」
不審そうな店員。
「すみません。うちは時計は扱っていないので…」
え?
