「加奈・・・。もういいよ。」
心配してそういってくれているのは分かるけど・・・。
首だけ横に振って、また話し出した。
『あたしの手は・・・あいつの血で赤くなってて・・・。それを見た子達があたしのことを噂した。”Sクラスの葵加奈は、Bクラスの佐々木大地【ささきだいち】を半殺し”って。そしたら、その噂はすぐに学校中に広がった。みんなで口をそろえて言うの・・・。”あの真面目な加奈ちゃんがそんなことを・・・。減滅した。”って。当たり前だけど、先生達の目も厳しくなったし、仲良かった子も声をかけてこなくなった。』
”小百合【さゆり】っっ!”
”ごめ・・・ごめんなさいっっ!!”
ーだっ
そうやって逃げていくおびえた小百合を思い出した。
『あたしに近づくと殴られて血まみれになる。だから、近寄るな。触れるな。話しかけるな。その三原則ができちゃったくらい・・・。』
「加奈・・・。」
自嘲気味に笑ったあたしは・・・本当にいかれてしまったのかもしれない・・・。
『だから・・・あたしも変わってやった。一人でも平気。近寄るな。近寄ったらぶん殴るってオーラ出して・・・。そしたら、みんなのあたしを見る目は・・・恐怖になってた。おびえておびえてただ・・・震えてた。』
それで・・・いまみたいになった。
『ただ・・・そんだけ。』
話せないに決まってる。
いまさら、みんなに謝られたり、近寄られたりするのは・・・怖い。
だから、
”イライラしたから。”
その一点張りにしていた。