彼氏くんと彼女さんの事情



「ちょ、ちょっとタンマッ…」




いきなりのことに心の準備がまだ出来ておらず、拒否の意を示すが、虚しくも意見は聞き入れられず。



あっというまに唇は奪われていた。




「(ご、強引……!)」




ガタリ、と、体重をかけていた机が床と擦れる音を立てて少し後ろにずれる。




徐々に上昇する体温と激しさを増す鼓動で、内蔵やら何やらが破裂してしまいそうだ。



それに加え、息をするのを忘れていた為に、酸欠になってきた。




「(く、苦しい…。)」



息を吸い込もうと、一瞬唇が離れた瞬間に口を開いた。



「、ぷはっ」




ひとつ新鮮な空気を体内に送り込む。



しかし息を吸い込んだ途端、またすぐに口は塞がれ、あろうことか口内にぬるっとしたものが侵入してきた。




「……っ!!」




思わず思いきり春川くんの身体を押し退けてしまった。



「って!」




すると押し退けられた春川くんは、手で口元を押さえ、顔を歪ませる。



噛んでしまったのだろうか。




「ああぁぁぁごめんね春川くん!大丈夫?」

「…………」




痛みの為か、はたまた機嫌を損ねてしまったのか。
目を細めて俯く春川くんは、私の言葉には答えない。