「………」
「………」
「……ありがと」
「うん」
私が言うと、春川くんは視線を落としたままこくりと頷いた。
首を動かしたと同時にポトッと、濡れた髪の先から水が滴り落ち、カッターシャツに小さな染みをつくる。
あ、そうだ。と、手に持ったまま忘れていたタオルの存在を思い出し、遠慮がちに春川くんの髪に手を伸ばし水分をそれで拭きとる。
春川くんは黙って大人しくしていた。
「ねぇ」
ぼうっとしている春川くんに話しかける。
「何で助けに来てくれたの?」
「……ヤスに聞いた」
……やっぱり、ヤスくんだったか。
「……私、春川くんが助けに来てくれるなんて思わなかった」
「………」
本当に、思わなかった。
だって。正直に言うと、私が嫌がらせのことを春川くんに話したって、どうせ助けてくれないと思っていたから。
春川くんは私のことなんてどうでもいいんだろうと思っていた。
「……あのさ、」
私は、ずっと考えていてやっと出した結論を春川くんに伝えようと思った。
「もう私と別れてもいいよ」
「……え?」
私の言葉に驚いた表情を見せる春川くん。

