彼氏くんと彼女さんの事情



「でも、あたしだって……っ」

「てか、あんた誰」

「……え?」




……え?




「誰」




いつだったか、聞いたことがあるような……。


そう遠くない記憶、の筈。




「お、おんなじクラスじゃん……!?」

「……知らない」

「っ酷い…!」




うん、確かにこれは傷つくよね……。


少し高倉さんに同情してしまった。




「どうでもいいけど。……とにかく、今度さゆりに何かしたら許さないから」

「……!」




うそ……


春川くんが私の為に、そんなこと言うなんて。



思いもしなかった言葉に、胸がギュっと掴まれたような感覚。




「もー行こうよ、ミエ。あんなんほっとこ」



ずっと高倉さんの横で様子を窺っていた友達が、高倉さんの袖を引っ張って言った。




「……ほんと意味わかんない……。勝手にすれば!」



捨て台詞を残して、高倉さん達は足早に去っていく。





息を詰めてその様子を見ていた私は、安堵の息を吐き出した。