むにょーん
またしても精神的ダメージを受け、落ち込んでいる私には全く気づいていない様子で、先ほど買ってきたらしい大福を食している春川くん。
むにょーん、と、いちいち手と口で伸ばしながら大福を食べる春川くんを見つめていると。
私の視線に気づき、パッとこちらに顔を向けた。
「食う?」
「……え」
「はい」
返事を返す間もなく、いきなり食べかけの大福を、目の前に差し出された。
「……え、」
あの。
これって、いわゆる……、間接キスじゃないですか。
戸惑う私を見て、首を傾げる春川くん。
恐る恐る、私はそれを受け取った。
「うまいよ」
「……うん、」
春川くんは、間接キス、なんてこと微塵も考えていないみたい。
……なんか私だけ変に意識しててかっこわるい。
恥ずかしさを隠しながら、パクリと大福を口へ入れた。
「、甘。……美味しい」
もぐもぐしながら私が言うと。
春川くんは嬉しそうな顔で笑った。
「だろ!俺、イチゴ味の大福が一番好きだなぁ」
ふわり、と、色素のうすい薄茶色の目を細め、子供のような無邪気な顔で笑う春川くん。
か、可愛すぎる……!!

