彼氏くんと彼女さんの事情



「!」




公園を出てすぐの道。50メートルほど離れたところに、こちらへ歩いてくる人影が見えた。




……春川くん?



私は小走りで駆け寄る。




「春川くんっ!」

「よっ」




やはり、その人影は春川くんだった。


……来ないかと思っていた。




「来てくれたんだ!」

「あー…」



……ていうか。

何、その格好。



目の前に立つ春川くんは、上下ジャージ姿に、手にはコンビニの袋。



家でだらだらしていたら、パッとテレビに映った食べ物を急に無性に食べたくなり、思い立って近所のコンビニに足を運んだ、という感じのラフな格好。




明らかに、これからデートという格好ではない。




「………」


「いや、ちょっと前に目が覚めて、たまたまついてたテレビに目をやったら、ちょうど大福のCMやっててさ。無性に食べたくなってさっきコンビニで買ってきた」


「………」




悲しくも当たってしまった、私の予想。