* * * *
来ない。
今日は日曜日。春川くんとデートの約束をしている日だ。
そして、現在待ち合わせ時間から30分以上の時間が経過している。
しかし。
……一向に春川くんの来る気配は、無い。
「(遅いな~…。)」
今居るのは、学校から少し離れた大きな公園で、その中にある時計台の下が待ち合わせ場所である。
私は石造りの壁にトン、ともたれ掛かり。はぁ、と、溜め息をひとつ吐いてみる。
もう一時間程、同じ場所に立っている。それに加え今日は少し高めのヒールのため、足が疲れてきた。
「遅い……」
しかし、遅いというよりは、来ないという方が合っているのだろう。
実際、あの春川くんがちゃんとデートに来てくれるかは五分五分だと予想していた。
しかし。やっぱり来ないと分かると、切なくなる。
「はぁ……。もう帰ろっかな……」
二度目の溜め息を吐きつつ、時計台を離れ公園を出ようとした。
と。

