「あ、そういえば」

「?」



今、一つの疑問を思い出した。


少し迷ったが、思いきって聞いてみることにした。




「あの、じゃあさ……何でキスとか手繋ぐのとか、してくれなかったの?」


「あーー…」



私が訊くと、高貴は気まずそうに頭を掻いた。




「――――だったから、」


「……え?なんて?」




高貴が何かボソボソ呟いたが、小さくて聞き取れなかったため聞き返す。



すると、高貴は不機嫌そうにだから、と言った。




「~~~キスとかしたら、それ以上抑えられなくなりそうだっつったんだよ」


「………?抑えられなくってどういう、」




そこまで言ってハッと気付く。意味が分かり、顔がどんどん熱くなってくるのを感じた。




「え、え、……お、抑えられなく、って…!?」




軽くパニックになっていると。




「……嘘だけど」



高貴はフイと私に背を向けて歩き出した。




「え!?うう嘘なの!?」

「さぁ」




黙々と歩き続ける高貴の事をよく見ると、耳まで真っ赤に紅潮していることに気が付いた。



もしかして。


不機嫌なんじゃなくて、照れてたのかな。