「……今日まで内緒にしときたかったんだよ」
「どうして?」
首を傾げると、高貴は呆れ顔で後ろ頭をポリポリと掻いた。
「今日、何の日か覚えてない?」
「え?」
「今日で一年目、だろ」
そう言われ、はっと思い出す。
そうだった、今日は……
「一年目の記念日だ!」
なんてことだ。
最近色々と悩みすぎて、こんな大事な事をすっかり忘れていた。
今更になって先ほどの高貴の言動が蘇り、納得する。
「そっか、ありがとう」
付き合って初めて貰った高貴からのプレゼント。
嬉しすぎて、せっかく乾いていた涙が再び滲んできた。
慌ててこれは嬉し涙だということを説明しようとしたら。
スッと、高貴の手が私の頬に伸びてきた。
高貴の指が、私の目尻に溜まった涙を拭う。

