彼氏くんと彼女さんの事情



「優愛っ!」


「!!」




グイと、後ろから体ごと引き寄せらた。


寸での所で横から走ってきた車を交わす。




「……あっぶねー」



はぁ、と高貴が溜め息を吐き、私の体から手を離す。




「ご、ごめん、なさい…」


「……俺も、ごめん」




私が呟くと、高貴も謝ってきた。




いい加減泣き止もうと思うのだけれど、ポタポタと流れ出る涙は止まることを知らない。


コンシーラーは流れ落ちてしまっただろう。目も、きっと腫れている。



今更ながらこんな悲惨な顔を見られたくないと、俯いていると。




「これ、」




突然私の胸の前に、白い小さな箱が差し出された。




「なに?これ……」


「開けてみてよ」