彼氏くんと彼女さんの事情



泣きそうになるのを必死に我慢する。震える声で、私は続けた。




「……ほんとは毎日、ナツミさんと会ってたんでしょ?」


「え……?……うん……」

「……っ…」




ナツミさんの言っていたことは全部本当だったんだ。


高貴は、嘘――、吐いてたんだ。




目に涙が滲んでくる。



「優愛……?」

「………ほんとは、」




堪えきれずに、ポロリと、目から涙が零れ落ちた。



やっぱり、やっぱり…



「ナツミさんの事…っ、好き、なんでしょ……!?」


「…………え?」




高貴は驚いた表情で目をパチリとしばたく。




「……高貴の」

「どうしたんだよ、優愛……!?」



「高貴の嘘つきいぃー!」




私は高貴に向かって叫び、走り出した。



「優愛!!」




高貴が私を呼び止める声を無視して、無我夢中で走る。




……高貴は、私の事なんて好きじゃなかったんだ。
嘘、吐いてたんだ。



目から止めどなく溢れ出る涙で前が見えない。転びそうになりながら、必死に走った。




嗚咽を漏らしながら、交差点の角を曲がろうとした時。




キキィ――ッ



「!??」