彼氏くんと彼女さんの事情



公園に足を踏み入れると、ベンチに座っている高貴を発見した。


私は高貴の方にゆっくり近付いた。




「高貴」




名前を呼ぶと高貴は私が来たことに気付き、顔を上げた。




「……優愛」




ベンチから立ち上がると私の前に来た。私は高貴を見上げる。




「ちょっと歩こうか」

「……うん」




私達は無言で薄暗い夜道をブラブラ歩く。




どうしよう。何を話そう。


もう、本題を切り出そうか。



でも……まだ、勇気がでない。



朝は勢いで高貴の下に走っていったけれど、冷静になってみれば不安や恐怖が私を襲う。




もし、別れたいと言われたら。私の事を好きじゃないと言われたら。



私はどうすれば良いのか。耐えられるのか。



不安が渦巻いて、なかなか話を切り出せないでいた。