彼氏くんと彼女さんの事情



「……優愛?」




驚いた表情で立ち止まる。


息を切らしながら私は言った。




「話があるんだけど……」



息を吸い込み、震える手を握り締めて話を切り出そうとした。



「あの、」


「おーい萩峰!授業遅れるぞ」




先ほど高貴と一緒に歩いていた男子の一人が、前方から高貴に言った。




「うん、今行く!」




高貴は男子の方を振り返って言い返し、また私の方に視線を戻した。




「ごめん、今から体育だから」

「……うん」

「今日、7時頃に部活終わるから……8時に、**公園に来てよ。……俺も話したいことあるから」




高貴はじゃあ、と言うと、友達の下へ駆けていった。



私は高貴の後ろ姿をぼうっと見つめていた。



「今日の8時に**公園…」



高貴が私に話したいことって何だろう……。


もしかして。




頭の中に浮かんでしまった嫌な考えを振り払いながら私は、早く教室に戻らないと、と来た道を引き返した。