彼氏くんと彼女さんの事情



分かっているけれど。どうして良いか、分からない。




「優愛、6組は次体育だよ」

「え?」



突然のさゆりの言葉の意味が分からずに聞き返すと。




「まだ時間あるし、急いでいけば居るかも。……高貴くんに、直接聞けば良いじゃない」




さゆりは優しく笑って、ポンポンと私の頭を撫でた。



「優愛は笑ってる顔が可愛いよ」

「……さゆり……っ」




さゆりの言う通り、ちゃんと直接高貴に聞かないと分からない。私は制服の袖で涙を拭い、椅子から立ち上がった。




「今から走ってくる!」

「うん、行ってらっしゃい」


「まじで、今から?……上坂、頑張れ!」




二人に見送られ、教室を出た。


高貴の教室は階が違う。急いで階段を駆け降り、6組に向かった。



6組の教室の近くまで来ると、男子達が歩いているのが見えた。その中に………高貴も居た。




「高貴!」




私は大声で名前を呼びながら高貴の下に走った。


高貴が私に気付き振り返った。