彼氏くんと彼女さんの事情



「ウワキだよ、ウワキ」

「ウワキ…?」




ウワキって、浮気?
高貴が、……浮気?


全く思いもしなかった単語が出てきた為に、即座に脳で漢字に変換することができなかった(頭が悪いだけだろ、という突っ込みは置いといて)。




「そんなわけないって~」




うん、絶対無い。浮気なんて有り得ない。


あの高貴が浮気なんて…


有り得なすぎて、笑ってしまいますな。フフフ……




「フフフフフ」

「何この子、気持ち悪い」

「………」




しまった、声(と顔)に出てしまっていた。

しかし言われて気づけば時既に遅し。変人だと思われたかもしれない。




「前から思ってるから」

「え!?」




考えてることが分かったのかな。


さすが我が友。




「とにかく、優愛は彼氏にしても何にしても信じすぎるんだよ」

「でも、高貴は浮気なんてしてな…」

「なに、恋バナー?俺も混ぜてっ」

「「!」」




突然後ろから声がして振り返れば、いつの間にか私の後ろの席に一人の男子が腰掛けていた。


ヤスくんこと安田くんだ。



ちなみに、ヤスくんの席は私の後ろではない。




「ヤスくん!びっくりした~」

「あはは。てか、彼氏に浮気されてんの~?」



話聞いてたのか。浮気なんてされてないけど。




「だから、浮気じゃないって~」

「てかあんたの彼氏って6組の萩峰だよな?俺、アイツと同中だよ」

「そうなんだ!」