彼氏くんと彼女さんの事情



* * * *


「………はぁ」

「どうしたのー、幸せ逃げるよ」



おっといけないいけない。
悩みすぎる余り、大きな溜め息をついてしまった。




「……もう、耐えられないよぉ」




私は自分の席に座り、さゆりは私の前の席に後ろ向きで座っているので、私とさゆりは今顔を合わせるような形である。




「高貴くんと、最近会えてないこと?」



私はさゆりの言葉にこくりと頷く。


もう、一週間もちゃんと高貴と会えていないのだ。




「高貴ぃ~~~…」

「可哀想に、捨てられたのね」

「捨てられてないよっ」



捨てられた、なんてそんなわけない。忙しくて会えないだけだ。




「でもあんまり会ってくれないみたいだし、最近冷たいーって言ってたじゃん」

「それは高貴は忙しいから、」

「いやいや、考えられることなんて一つしかないね」




一つ?なんだろう?
分からなくて、さゆりの顔をじっと見る。

するとさゆりは、私の目の前まで身を乗り出して小声で言った。