『うぅ…バカっ! もう…っ、はぁはぁ』 俯いていたらジワリと涙が溢れてきたのを、あたしは鼻を啜って耐えた。 こんなことで泣くもんかという気持ちが働いたのだ。 あたしは苦しさのあまり、俯いたまま顔を上げることができない。 そんなあたしの頭上から溜息混じりに声が降ってきた。 『ちゃんと走れよなぁ…』 視界に彼の少し汚れた青い靴が映った。 あたしは膝から手を離すと、丸まっていた上半身を伸ばした。 そしていつの間にか目の前にいた彼を見つめる。