ピエロ。〜言葉のいらない恋〜

調子に乗った私は、驚かせてやるつもりで川に入ってろうと思った。

彼は一体どんな反応をするのかな?

「川、入ってみようかなぁ〜」

「……ッ!!」

靴を脱いで、靴下も脱いだ。
穏やかに流れる川に…少しずつ足を入れる…、若干ひやっとして肌寒い。

「ほらっ!安心したで…し…」

後ろから激しい水しぶきと音と…暖かい温度が背中を包み込む。

そして、冷たく放たれた声が耳元で微かに聴こえた。
「…バカか。」

良く良く理解してみると、私はピエロさんに抱き締められているのかな?

あとあと凄く恥ずかしく感じてしまい、前で交差されてる手を無理矢理払い除けた。

「ちょっと、何よ!!何のつも……って、ぇあっ」

バランスを崩してしりもちをつく。川の冷たい水が衣服に染み込んで来るのを感じた。

「あぁー!パンツ濡れちゃったぁ。あんたのせいよ。えいっ!」

怒り半分、恥ずかしさを誤魔化す半分。
彼にしりもちをついたまま水をかけた。

一瞬、冷たさにビクッと体を震わせたかと思うと、ピエロの顔は笑っている……
そりゃあ、お面だから笑ってるに決まってるけど、私にはピエロのほんの素顔が見えた気がした。

「あっ、ピエロさん…くつ脱いでないで入ったの?」
「……。」

「ごめんね。私のせいだわ。うわっ、冷たッ」

お前のせいだ。ばかりに水をかけてくるピエロに、私も一緒になって遊んだ。


そのあと、川沿いの草原に腰を下ろしていると、ピエロもちょこんと隣に座る。勿論、互いが服も髪も濡らしている。

夕暮れを眺めて、二人一休みした。