ピエロ。〜言葉のいらない恋〜

秋になるとお花畑もすっかり、あっけらかんになってしまったもので…

色とりどりの落葉がチラチラと散らばっているだけだった。

私が下に降りた時にはもう、彼の植民地支配は広がっていた。

見渡せば…NOっ!

「えぇー。っちょ…」

「……。(どやっ)」

こんな時、冷静に考えられない私は発想が子供っぽい。
「いーぃ、よ!アンタ、弱虫だからここには来れないでしょ。」

気が付けば私は、少し離れた所へある釣り禁止と書かれた看板を越えて川沿いを歩いていた。

まぁ、流れが激しい訳でもなく、足場が悪い訳でも無いのだが…毎年この時期になると、釣りをする人が増える為に

釣り禁止っ!

と、いう意味で立てられた看板らしい。

だが…子供の私達の歳は、釣りという字はどうでもよく、
禁止!

という字を気になってしまうものだ。

つまり、今の状況はと言うと……。

ピエロさんは川沿いを歩く私の所へ急いで駆け寄り、看板の後ろから手招きをしている。
私は、それを見て勝ち誇った気でいた。

「こぉ〜こまで、おいで」
私は、そわそわしているピエロさんを横目で見ながら川岸にYES字を書き進める。
私にとって、この川は昔父と遊んだ場所であり、危険でないと知っていたので有利な事だった。

彼は手を止めて、此方をただただ見つめている。