木の所まで登り、同じように木を背にして隣にちょこっと座ってみた。

男の子は抵抗も、何もしない。

ただ、変わった事は…こっちを向かない。彼方向こうを見ている。

「ねぇ、どうして?」

「…………。」

「私、田辺亜依。……貴方の名前は?」

「…………。」

さっきから、口を開かない彼に少しムカついた。ねぇ!と言うばかりに、肩を揺らす。

「…………。」

「……そう。そのまんま、黙りっぱなしって訳ね。」
「…………。」

「分かった。教えてくれないんだったら…勝手に名前付けるから。」