小道の先は真っ暗で木が生い茂っていた。

でも行き止まりでは無いみたい
私は手に持っていた教科書を置いて、走り出した。


「はぁ…はぁ…」


運動不足の私は少し走っただけで息切れをした。


ここは森なのかと錯覚してしまうほどの木々を越えると少し空間が出来ていた。

そこには小さな白いベンチと
ベンチに寝転ぶ人がいた。

「……きゃあ!」

「……ん?!」


私の声に驚いたその人は飛び上がった。


「だれだ…お前……」


目を擦りながら眠そうに、見たことない男の人が言った。


「あ…すいません…私は1年A組の……」

「…気持ちよく寝てたのに……ふぁ~…」


私の説明も聞かずにその人は豪快なあくびをした。


「あの…聞いてますか?」

「ん?……うん」


絶対に聞いてないな…
って思ったのと同時に私の心臓は跳び跳ねた

改めて見ると、その人はすごくかっこよかった。


でも学生服は着てなくてスーツを着ていた。
ということは先生?


「あの~…」

「お前、授業は?もう10分も過ぎてるけど」

「あっ!忘れてた!」


私は来た道を走って戻っていった。