15分くらい歩いて、カムイの家に着いた。
彼女はおぶってきたのだが、おぶるまでがまた大変な道のりだった。
さすがにおぶられるのは恥ずかしかったみたいだが、有無を言わさずおぶって歩き出すと流石におとなしくなった。

ーー少し可愛かったな……。

そう思いながら、彼女をそっとベッドの上に下ろす。

「狭い部屋だが…勘弁してくれ。」

カムイは苦笑しながら言った。

「いえ、道を教えて傷の手当てまでなさってくれた上に、泊まるところまで用意して下さって。泊まれるところがあるだけでも十分です。」

初めて会ったときよりはしっかりと話してくれるようになった。
彼女はそう言うと、何もかも、見るもの全てが新鮮な様子で部屋のあちこちを見て回っていた。
足の痛みなど忘れて興奮している様子はとても滑稽で、彼女をしばらく見ていたカムイは笑ってしまった。

「……?何かおかしなことがありましたか?」
「いや、…ククッ……見るもの全てが初めてなのかなぁ……って。」

彼女はハッと気付いたようにもとのベッドに恥ずかしそうに腰を下ろした。