貴族によって酷い生活を強いられている貧民たち。
その中でも一際貴族に対して恨みを持っている青年ーーーーカムイ。
彼の両親は貴族の暇つぶしのために殺されていた。
そんな身の上のため、一人で暮らしている。

この国の貧民たちは、月に一度、貴族の権力の見せしめのために公開処刑を課される。そんな処刑に立ち合っている貴族は、処刑に興味のある者と貴族の中でも地位の高い公爵家である。

その公爵家の中のナイトレイ家の一人娘ーーーミカエラ・ナイトレイは生まれ持った美貌故に言い寄ってくる男も多い。
だが、ミカエラはそんな男共を突っぱね、いつも笑わずに貧民の処刑を傍観している。
貧民の中でも「笑わないお姫様」は話題になることがあった。
何故ならふつうの貴族は足掻き、苦しみ、殺されていく貧民を見て、嘲笑うか
気持ち悪いと蔑むからだ。

「笑わないお姫様」の噂はカムイも聞いたことがあった。
一回見たこともあるぐらいだ。
だがやはり、何不自由なく暮らしてきたのかと思うと、どうしても腹が立った。
自分は1日1食でもありつけることができたなら運がいい方なのに。
そういう思いは消え失せることはなかった。