「俺が着たって可愛くないし綺麗でもないって言ってんだろ?」

「いや、まじ翔天使だから。絶対似合うから。俺のために着てくんねぇ?」


まるで祈るように手を組んで立ち膝をしてる一馬。
俺は立ったままで。つまり見上げられてるわけで。

これが普通の俺みたいな平凡男子だったら気持ち悪いんだろう。
だが美形がやると絵になる。すごく絵になる。


ちょっとだけドキっとした。
…これはきっと、慣れてないからだ。
うんそうだ。こんな変人の上目使いにドキッとするわけないだろ。


「絶対似合わないし、それに男の女装なんて気持ち悪くね?」

「気持ち悪くない。むしろ可愛すぎて天国飛んでっちゃう」

「今すぐ逝け。そして帰ってくんな」


なんだよ。最後の方のが無かったら着てみてもいいかなぁって思ったのに。


いや待て。ちょっと待て俺。
おかしいぞ。着てもいいとか思ってないぞ。
思ってない、思ってないはず…


分かった、感化されてるんだな。この変人変態残念イケメンに。
そうだ、そうに違いない。


「まじ着て?」


ぐるぐるぐるぐると考えていると、いつの間にか目の前に変人変態ざんね……以下略、が。

「うわっ」

驚いて後ろにのけぞる。そして仰向けに倒れる。
てか後ろテーブルなんだけど。地味に痛いんだけど。


「な、なんという幸運!俺今日ついてるー!!」


なにやら戯言を呟いて「よいしょよいしょ」と上に乗っかってくる変人へんた…以下略。
何気に重いんだが。退いて欲しいのだが。


「そんなキラッキラの目で俺を見るな」

「俺ラッキー!このままできる!!」


なにができるのかはノーコメ。