腰が痛い。

目を覚まして初めに脳内で思ったことだ。
有り得ないほどの激痛がする。身動きが取れない。
首だけ動かすと、そこには綺麗な寝顔。

……まさか、最初がこいつとか。
軽く最初が女じゃないことにショックを受けつつ、なぜか湧き上がる嬉しさを噛みしめた。


ほんとびっくり。
あの変人で変態で残念なイケメンがあんなに焦るだなんて。
いつも余裕な笑顔とかこっわい無表情だったから。
ちょっとレアだったな。なんて考える。


だけど、
まさか俺が無自覚なバカだったなんて!!
俺も男だ。お預けってものがどれだけ苦しいのかは知ってるつもり。
ほんと、一馬、ごめん。

って言いたいけど、言ったらまたなんかされそうなので言わない。


……俺の初めて、ほとんどこいつなんだけど。
告白されたのも、キスも、全部一馬なんだけど。


でも不思議と嫌じゃない。
あの時は流されて付き合い始めたけど、いつのまにか俺も一馬のこと…。


好きなのかはわからないけど。でもたぶん好き。
言わないけど。
だって、恥ずかしいじゃん?


『今寝てるだろ、言っちまえ。』


脳内で誰かの声が響き、俺はちょっとだけ一馬に近付いて口を開く。


「好き…
……恥ずかし」

「俺も翔好きー★」


いきなり一馬の目が開いた。
口元は緩んでる。

「もー、やっと言ってくれたぁ。だいぶ待ったよ」

「おま、起きて…!」


「うん、起きてた。
いやー、腰の痛みに呻く翔、むっちゃ可愛かった。いじめたくなっちゃったよ。
ということで行こう、ツンデレ魔女っ娘。第二ラウンドへ!」

「だが断る」

「拒否権なーし★」

「んなっ!?」




ハッピー★ハロウィーン




*.・☆えんど☆・.*