パーティーの後片付けを始めた私は、別れ際にカリレム様が言った一言について考えていた。



『明日、ここを出る。ミリタムは少し信用性がない。俺らの場所が姉ちゃんたちにもばれたかもしれない。早朝逃げ出すから準備をしてろよ。
…ミリタムに話をつけてくる。』





どうしてこんなことになったの?

いろんな所に旅できるのは楽しいけれど、毎日毎日、ビクビクして生きる生活は今もイヤ。





元を辿れば、あの姉弟に行き着いてしまう。

あの日、おとなしく私がカリレム様を暗殺していれば…。

リリアス様がカリレム様を処刑するなんて言わなければ…。

カリレム様がリリアス様のもとに訪れなければ…。

私やリリアス様、カリレム様がこの世界に生まれてこなければ…。








私の好きなリリアス様やカリレム様に憎しみを覚えてしまうのは、召使の私としては、淋しいし哀しいし、屈辱以外の何物でもない。


でも、本当のことだもん。



堪えていた涙が溢れ出る。


私の泣いている声が、誰もいない大広間へと響きわたった。