「あ、今土方さんの前で総司って言ったでしょ?」
『あっ…』
「君は注意力が足りないなぁ。まったく。」
『うるさい!!あ、ほら斎藤さんがいるよ。謝ってきなさい!』
ドンッ!!
私は沖田の背中を思いっきり蹴った。
「いったいなぁ…もう。」
沖田は斎藤さんに近づいた。
沖田が声をかける前に斎藤さんが後ろを振り向き言った。
「総司。さっき道場に行ったら俺の隊の者たちが全部倒れていたんだが…何か知らないか?」
「えっと…僕がボコボコにしちゃったんだ…色々とあって気が立ってたんだよ。稽古で気を直そうとやってたらつい…」
斎藤さんは目を伏せると静かに言った。
「そうか…今回のことは許そう。今後こんなことをしたら覚悟しておけ。いくらあんたでも容赦はしない。」
「はいはい。」
斎藤さんは歩いて屯所から出ていった。
多分羽織を着ていたから巡察だろう。
『良かったね。総司。許してもらえて。』
「斎藤くん相変わらず怖いなぁ。」
