ここは不思議な不思議な魔法の世界
誰もが夢見る、ファンタジーの楽園・・・。

とは、いきませんでした。


水無月まりあは今、悲劇に合っています。


「また宿題を忘れたのかい?」
「・・・わ、忘れました。」
本当はやってないだけだったり。
さりげなく怒りを訴えてくる先生が、地味に怖い。
また廊下に立たされて、ぐったりと壁にもたれかかるいつもの朝
親友の黒沢ゆうまは窓の内側から面白そうにウインクする


「・・・魔法で宿題を終わらせられたらなぁ。」


このクラスは『下級魔法氏特訓クラス』
つまりは落ちこぼれである。
もっとも、『上級魔法氏復習クラス』の良い子ちゃんが
ズルをしたところで、『中級魔法氏練習クラス』に下げられるだけですが。



そんな普通の魔法学校のどこが、ファンタジーの楽園なのか・・・。

魔法は思う存分に使えないし、人間界の勉強はしなきゃだし
つまらないことばかりで、正直飽きた。
ここの生徒特有の悩みだってたくさん・・・。



もっと魔法が使えたら楽しい

辛いことがなくなったら楽しい

別の何かが起これば楽しい

もっと世界が変えられれば楽しい

・・・世界が?

そうしたら、楽しいか?





そこで私は究極のひらめきをしたのです。


「・・・そうだ。」








人間界に行けばいいんだ